PMMとは?存在意義と追う目標、必要なスキルセットについて

SaaS企業などで少しずつ定着しつつあるPMMについて、ポジションの目的や目標、仕事内容や関わる職種について解説していきたいと思います。

目次

  1. PMM(Product Marketing Manager)とは?
  2. PMMの生まれる背景
  3. PMMの存在意義と追う目標
  4. PMMが関わる人たち
  5. PMMに必要なスキルセット
  6. 終わりに

1. PMM(Product Marketing Manager)とは?

PMM(プロダクトマーケティングマネージャー)は、プロダクトの市場適合性を高め、ビジネス成果を最大化する役割を担う職種です。具体的には、どんなプロダクトが市場に求められているのか要望や要求を整理し、PdMとともに要件定義をし、プロダクトのリリース後のグロースのためのマーケティングに責任を持つポジションです。

PMMの主な業務は以下のようなものがあります。

  • 顧客の声をベースに要望・要求を整理
  • 収集した要望・要求を元に要件定義
  • プロダクトロードマップの作成
  • プロダクトローンチ戦略の策定と実行
  • 利用度分析と利用度向上に向けた施策立案と実行
  • マーケティング施策の企画や実行

PMMは開発サイドはPdMと協力し、ビジネスサイドは営業やカスタマーサクセスと協力しながら、顧客に価値を届ける役割を担う点が特徴です。


2. PMMの生まれる背景

PMMという職種は、プロダクトが大きくなるかつ複雑になる中でPM(PdM)が業務を回しきれなくなりタスクボールが落ち始める状況で生まれるケースが多いかと思います。

PMMが存在しない中では、ビジネスサイドと接点を持ってマーケティング活動を行いつつ、顧客の要望や要求を収集し整理して要件定義をする。開発サイドと接点を持ってロードマップを作成し、開発やデザイン関係のディレクションを行う。といった業務をすべてPM(PdM)が担わなければならず業務過多になり一つ一つの業務を丁寧にこなしていくことができません。

そのような状況の中では競争力のあるプロダクトの開発は難しく企業としての存続や繁栄に影響がでてしまいます。

そこで、開発サイドとはPM(PdM)が向き合って責任を持ち、ビジネスサイドとはPMMが向き合って責任を持つといった棲み分けが生まれてきます。

3. PMMの存在意義と追う目標

前述の通り、PMMは営業やマーケティング部門と向き合ってプロダクトの成長に責任を持つポジションです。存在意義としてはプロダクトを市場に適応させ、最大限の成果を引き出すことです。

組織や事業のフェーズにより追うべき目標は異なると思いますが、PMMが追う目標としては以下のようなものが挙げられます。

  • プロダクトの市場適合性(Product-Market Fit)の最適化
  • MRR(月次経常収益)・ARR(年間経常収益)の向上
  • 顧客満足度の向上と解約率(Churn Rate)の低下
  • ブランドの確立と市場シェアの拡大

PMMは上記の目標達成のため、データとユーザーの声を基に、プロダクトの価値を最大化するための施策を打ち出していきます。


4. PMMが関わる人たち

PMMは、社内外のさまざまな関係者と連携します。

  • PdM(プロダクトマネージャー): プロダクトの企画や開発のディレクションを担う。
    • PMMがビジネスサイドに向き合う一方で、PdMは開発サイドに向き合います。PMMと連携しながら何をいつまでに作るかを決めロードマップに落とし込み、エンジニアやデザイナーをディレクションしてロードマップ通りにプロダクトをリリースすることに責任を持ちます。
  • 営業・カスタマーサクセス:受注しオンボードし顧客のサクセスに導く。
    • プロダクトの導入から顧客の業務にフィットさせプロダクトの導入目的を達成させる過程で、顧客の声を一番多く持っています。PMMは顧客要望とその背景やユースケースを収集・把握しプロダクト価値を高めるために何が必要かを整備していきます。
  • マーケティングチーム: 広告・コンテンツ制作・キャンペーン管理
    • プロダクトをどう見せてどういうリードを獲得したいのか?というブランド設計や施策、キャンペーンをPMMもマーケティングチームと協力して企画していきます。意図しない質の悪いリードの獲得をしてしまうと、営業やカスタマーサクセスの生産性を下げてしまい運用コストの圧迫につながるリスクがあるため、綿密に連携する必要があります。
  • 開発チーム(エンジニア・デザイナー): 開発、デザイン
    • プロダクトの実装において、PdMを介しつつもテックリードやリードデザイナーのポジションとどんなプロダクトをいつまでに作りたいのかの目線合わせや、細かな仕様部分、デザイン部分にもビジネスサイドの意見を反映させるため連携をする必要があります。なぜこのプロダクトがこの仕様でこのデザインで必要なのかの必要性についてビジネスサイドの生の声を届けることでモチベーション向上にもつながるため、連携はとても重要なものになってきます。

5. PMMに必要なスキルセット

PMM(Product Marketing Manager)に求められるスキルセットは多岐にわたりますが、以下のような領域に分類できるかと思います。

スキル領域主なスキル活かせる場面
市場調査・データ分析・市場・競合分析(5 Forces分析、SWOT分析、PEST分析 など)
データ分析(SQL、Google Analyticsなど)
顧客インサイトの抽出(ユーザーインタビュー、アンケート分析など)
・競合との差別化ポイントを見極める
・ ユーザーの声を基にプロダクトの方向性を決定
・ データを活用し、売上や利用率の改善策を立案
プロダクト理解・戦略設計・プロダクトの要件理解(PdMと協働して機能改善・開発計画をサポート)
・プロダクトの価値定義(USPの策定、バリュープロポジションの構築)
・価格戦略(パッケージング、価格設定、フリーミアム戦略 など)
・競争力のあるプロダクト戦略の策定
・ プロダクトの価値を適切に社内外に伝える
・ 適切な価格設定やパッケージングの設計
メッセージング・ポジショニング・ターゲットセグメンテーション(STP分析:Segmentation, Targeting, Positioning)
・プロダクトのポジショニング設計(競合との差別化、バリュープロポジションの策定)
・メッセージング戦略(キャッチコピーやストーリー作成、LP・広告のメッセージ作成)
・プロダクトの魅力を適切に伝え、顧客の共感を得る
・競争優位性のあるポジショニングを確立
・営業資料や広告コピーの最適化
マーケティング施策の実行・コンテンツマーケティング(ブログ、ホワイトペーパー、セミナー など)
・広告・キャンペーン企画(リスティング広告、SNS広告、イベント企画)
・リードジェネレーション(MQL/SQLの管理、マーケティングオートメーション)
・効果的なマーケティング施策を設計し、リードを獲得
・プロダクトの魅力を伝えるコンテンツを制作
・広告・キャンペーンの効果を最大化
営業・CSとの連携・営業支援(セールスエネーブルメント、営業資料作成)
・カスタマーサクセスとの連携(NPS改善、導入支援施策の設計)
・アライアンス戦略(パートナー企業との協業)
・営業チームと連携し、成約率を向上させる
・CSと協力し、解約率を下げる施策を設計
・パートナー企業との協業を推進
プロジェクトマネジメント・タスク管理(JIRA、Notion など)
・チーム間調整(営業・CS・マーケ・開発との連携)
・KPI設計と進捗管理(OKR/KPIの設定とモニタリング)
・プロダクトローンチのスケジュールを円滑に進行
・各部署と連携し、施策を着実に実行
・成果を可視化し、改善施策を立案

PMMは「マーケティング」と「プロダクト」の両方を理解し、各部門と連携しながら成長を推進するポジションです。そのため、多様なスキルをバランスよく身につけることが求められます。


6. 終わりに

PMMは、企業の成長に大きく貢献できる職種です。決して各職種の間に立って御用聞きになり便利屋になればいいというわけではありません。ビジネスサイドに向き合い、プロダクトの勝ち最大のため根拠を持ってさまざまな領域に対して優先順位をつけ意思決定していく必要がありハードな職種であると思います。しかし、その分やりがいは非常に大きいものがあります。PMM界隈が盛り上がってきて事業の成長に貢献できたぞという話題で盛り上げて生きたら嬉しいなと思います。

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